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アールグラフ代表の牛澤です。

東大阪市の中央部に位置する、K様邸の地盤改良工事に立ち会って参りました。


△地盤改良工事の様子△

えっ!?
「敷地の何箇所かに、線路の下の石ころみたいなのを詰めただけですか!?」
と思われた皆さま。
はいっ、そのとおりです!
今回は、住宅における地盤改良についてお話ししたいと思います。

地盤改良の歴史について

そもそも、住宅における地盤改良の歴史は浅く、15年前ぐらいまでは地盤改良どころか地盤調査自体なされていない場合がほとんどだったのではないでしょうか。

2007年の住宅瑕疵担保履行法という法律の施行により、住宅施工会社は住宅瑕疵担保責任保険* の申し込みが義務化される過程で、地盤調査も義務化されました。

* 住宅瑕疵担保責任保険とは・・建物の特に重要とされる部分で施工不良等が判明した場合、住宅会社に保険金が支払われることで、住宅会社に確実に修繕を行わせ、重大な問題状況が放置されないことを狙った仕組み。

つまり、2007年にようやく住宅においても地盤改良が義務化されるとともに、地盤改良を実施する/しないにおいては施主側に決定権がなくなり、地盤調査の結果地盤改良が必要という判定が出た場合は、地盤改良工事が必然的に行われるようになりました。

皆さまの安全や資産価値を守るという意味では一歩前進といったところですが、義務化されるほど重要な地盤改良の「工法」については、気にされたことのない方のほうが圧倒的に多いのが実情ではないでしょうか。

地盤改良の「工法」について

「工法」の話となると、とたんに賛否両論が渦巻く世界となりますので、ネットで調べても、あるいは調べれば調べるほどよくわからなくなってしまいがちで、「素人で判断するのは無理!」ってさじを投げたくなるお気持ちはよくわかります。

ただ、東大阪市や八尾市といった河内エリアに住みたい皆さまには、ぜひとも地盤改良の工法についても気に掛けていただきたいんです!

その理由はのちほど説明させていただきますが、まずは結論。

河内エリアの住宅用地盤で柱状改良を行う場合、砕石パイル工法がいまのところベストな選択肢だと思っております。

では、なぜ河内エリアだと砕石パイル工法(HySPEED工法)を推奨するかですが、その前提として、当社あるいはK様邸が所在することになる「河内」について、これから家を建てるうえで1つ知っておいていただきたいことがあります。



△河内エリアは”こちら”です△

そもそも現在の大阪の中心部、というより大阪平野のほとんどが、縄文時代までは(大阪城から住吉大社まで南北に伸びる上町台地を除き)
一面海だったことはご存知でしたでしょうか。

弥生時代に入ってもなお、下図のとおり上町台地を境に大阪湾と河内湾(のちに縮小して河内湖)が広がっており、K様邸は河内湖の湖畔(下記地図内の西岩田周辺)に位置していますが、地球の長い歴史からすればつい最近陸地となったばかりの土地で、家を建てるには地盤が軟らかすぎる場合が多く、K様邸も地盤調査の結果、そのままでは不同沈下* を起こしかねないと判断され、地盤改良が必要と判定されました。

*不同沈下とは・・建物の重みで地中の水分が横に逃げ、水分の失われた体積の分だけ地盤が沈下し、徐々に建物が傾いていく現象



△参照1)弥生時代の大阪府古地理図△

地盤改良の方法は下図のとおりいくつもありますが、最近まで海に沈んでいた河内のエリアでは、地震に強く、地震後の液状化現象* に強い工法が求められます。
*液状化現象とは・・地震が起こった際に地表近くの砂層が沈み込み水が湧き出し、地表付近がドロドロと液状にゆるみ建物が沈下する現象



△参照2)「技術総覧」地盤改良工法の主な目的と効果P431より△

HySPEED(ハイスピード)工法について

HySPEED(ハイスピード)工法は、建物が建つ予定箇所の真下に柱状に穴を掘り、そこに砕石(岩を砕いたもの)を押し込む工法です。
ということは、下記のようなメリットがあります。

1.地震に強い
河内のような軟らかい地層では地震の揺れが増幅されるため、セメントを流し込む一般的な柱状改良では地震動のせん断力(ポキっと折ろうとする力)により柱が折れて支持力がなくなる可能性がありますが、HySPEED工法は砕石を流し込んでいるだけですので、地震発生時にも柱として折れようがなく、せん断力に追随するので杭として破損しないため、地震発生後も引き続き強度を保ちやすい。

2.地震による揺れを弱める
砕石を押し込んで詰める過程で周辺地盤そのものを強くしているため、
地震による「揺れ」の共振を和らげ、建物に対する負荷も和らげる。

3.液状化を防ぐ
河内のような最近まで海が広がっていたような沖積低地は砂層で地下水位が高く、液状化現象が起こりやすいが、建物直下の数十箇所に渡り砕石を詰め込んだ工法をとれば、液状化させようとする水圧を砕石同士の隙間でうまく吸収させることができ、液状化自体を相当程度防ぐ効果がある。

以上のことから、河内エリアでは砕石パイル工法(HySPEED工法)が適していると考えられますが、もちろん物事にはメリットもあればデメリットもあります。

デメリットでいえば、
・住宅のような設計荷重の軽い建築物でなければ成立しない
・施工時砕石を流し込んだり転圧をかける音がする
・セメントによる改良よりコストがかかる

といったものが挙げられます。

しかし、住宅用であればまず問題ありませんし、たしかにセメントを流し込む工法と比較すれば音は発生しますが、家を完成させるまでの他の諸工程で発生する音量より著しく大きいとまでは言えず、コストについては、セメント改良より「初期コスト」は掛かる一方、「トータルコスト」では逆に明らかに安くなります。

トータルコストが「安く」なる理由とは?

なぜ、「トータルコスト」では安くなるのかというと、砕石(杭)はセメント(杭)と違って「埋設物」扱いとはならず、仮に子や孫へと住み継ぐなかでいつか売却するときが訪れたとき、セメント(杭)は撤去することが前提での売買となるため、数百万程度掛けて杭を抜くか売却価格から杭の除却費用を差し引かれて売ることになりますが、砕石(杭)であればそのような資産価値の低下はありません。

むしろ、仮に立て替えるとなった場合でも砕石杭としてそのまま再利用することが出来ます。

費用については、条件により大きく変わるためもちろん一概には言えないものの、あえてわかりやすく言えば、施工時に数十万円多めに支払うか、売却時に数百万円多めに支払うかの違いといえます。

地盤改良で得られる「更なる」メリット

また、ハイスピード工法を採用することで、一般的によく使用されるセメントでの地盤改良において、一定の割合で発生するとされる発がん性の高い六価クロム問題を回避できます。

(ちなみに、ビルとは違って住宅では六価クロムが発生してるかどうかを調査する義務がまだ課されていないという闇もあります。ガーデニングを楽しむ方もいらっしゃるはずなので、住宅こそ調査が必要だと思うのですが・・)

さらには元々自然界にある天然砕石を使うため、環境に優しい工法と言われており、施工実績も積み重ねてきたいま、まさにこれからの時代に求められる住宅の有望な地盤改良工法の1つではないかと思われます。

まとめ

これから家を建てようとされる河内周辺の皆さまにとって、地盤改良の工法の話は重要ではあるもののマニアックな話となりますので、出来るだけ正確さも保ちつつわかりやすさを優先した説明を試みました。

熊本や北海道の震災後の調査で明らかとなりましたとおり、「いくら建物自体を丈夫に作ったところで地盤不良により家は倒壊する」ということをぜひ念頭に置いていただき、住宅の具体的な地盤改良工法については今回の内容を参考にしていただければ幸いです。

※)参照元|
参照1)弥生時代の大阪府古地理図: http://kouwan.pa.kkr.mlit.go.jp/kankyo-db/intro/detail/rekishi/detail_p07.aspx


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